風邪予防のために「うがい」を行う日本独特の衛生習慣が、実際に効果があることを京都大保健管理センターの川村孝教授(内科学・疫学)らのグループが実証し28日、発表した。これまでうがいの有効性を裏付ける根拠は何もなかったといい、世界初の成果という。グループは「良い習慣を世界に発信するきっかけになれば」と話している。
グループは02〜03年の冬場、全国で18〜65歳の計約380人のボランティアを、水うがい▽ヨード液うがい▽何もしない、の3群に分けて2カ月間追跡調査。うがいは15秒を2度行い、1日3回以上実施した。その結果、水うがい群は何もしない群に比べて風邪の発症が4割減った。
一方、ヨード液群にはグループの予想に反し、はっきりした予防効果がみられなかった。メカニズムは不明だが、川村教授らは「健常なのどでもたくさんの細菌がバランスを保っている。薬がバランスを壊すのではないか」と推測する。また水うがいでも、水道水に含まれる塩素が殺菌効果をもたらした可能性を指摘している。
一般的な感染予防にうがいが有効と指針を出してきた厚生労働省結核感染症課は「あくまでも通説に従っていた」とコメント。ヨード液を主成分とする国内シェアトップのうがい薬を製造販売する明治製菓(東京)は「のどを殺菌・消毒・洗浄する治療薬であり、風邪予防の効能はもともとPRしていない」としている。
厚生労働省は19日の中医協診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史早稲田大教授)に、後発医薬品の使用を促進するため、処方せんの様式を見直す方針を示した。一方、加算などにより、後発医薬品の使用を誘引する診療報酬や調剤報酬の体系は現状を維持。様式見直しの効果を検証した上で、報酬の取り扱いを判断する。小委では厚労省の様式見直し案に対し委員から異論があり、継続審議することとなった。
厚労省の処方せん様式の見直し案では、新たに「後発医薬品への変更可」と「後発医薬品への変更不可」というチェック欄を設ける。処方せんに先発医薬品の銘柄名を記載した医師が、その後、後発医薬品に変更しても構わないと判断した場合に意思表示しやすくするためで、「変更可」にチェックがあれば調剤段階で後発医薬品に切り替えられるようになる。
一方、後発医薬品を含む処方せん料をそれ以外より2点高く評価する仕組みや、保険薬局が後発医薬品を調剤した場合の「後発医薬品調剤加算」(1調剤当たり2点)、後発医薬品の品質や薬価などの情報を患者に提供した場合の「医薬品品質情報提供料」(処方せんの受け付け1回当たり10点)の引き上げは見送る方針。
同日の小委で支払い側の宗岡広太郎委員(日立製作所取締役監査委員)は、後発医薬品の使用促進のために付けた診療報酬や調剤報酬上の加算などが、インセンティブとして機能しているのか分かりにくいと指摘し、今後十分な議論が必要との認識を示した。
小島茂委員(連合生活福祉局長)は後発医薬品の安定供給を担保する仕組みの必要性を強調。処方せん様式については、「処方せんに『変更不可』のチェックがなければ後発医薬品に変更できるようにすれば、使用が一番進むのではないか」と述べ、何もチェックがない場合は医師が「変更可」と判断したとみなすべきだと提案した。
これに対し、診療側の松原謙二委員(日本医師会常任理事)は後発医薬品の使用が進まない背景として「先発品とは溶け方や有効成分の吸収などにより“切れ味”が若干違い、患者のためにあくまで先発品を使う医師もいる。また、後発医薬品の情報が十分でなく、安定供給が保証されていないこともあるが、トータルで医師が判断している」と述べ、小島委員の提案には反対した。
松原委員はまた、「医師が『変更可』と書いた場合の後発医薬品への変更は百歩譲って許せるとしても、チェック欄を設ける処方せん自体の様式変更には同意できない」述べ、サインか印にするかなど意志表示の在り方も含めて議論の継続を要請。
厚労省は次回以降、具体的な処方せん様式見直し案や、後発医薬品先進国の米国などの処方せん記載例を提示して議論する考えを示した。
厚生労働省は、処方せん記載方法と医療事故事例の関連性について分析に乗り出す。処方せんの記載方法が統一されていないため記載ミスなどによる医療事故が続発しているとの指摘が出ていることから、厚生労働科学研究班を近く設け、年度内に分析結果をまとめる。記載項目の標準化も含めた処方せん記載方法の見直し作業にも入る方針で、処方せんの記載ミスなどによる医療事故に歯止めをかけたい考えだ。
処方せんは医師法に基づき記載されているものの、記載方法は医師や医療機関の間で統一されていない。医療機関や医局ごとでも記載方法が違うこともあり、これが原因の処方せん記載ミス、記載漏れ、指示受け間違いなどによる医療事故やヒヤリ・ハット事例が後を絶たないという。
薬剤師法では処方せんを監査し、問題がないことを確認した上で調剤し、患者に渡すことになっている。しかし、患者が転院した場合や、多くの医療機関から処方せんが集まる院外の保険薬局などでは、処方せんの記載方法が異なることが多く、事故につながる可能性が高いという指摘があった。
こうした状況を踏まえ、今年6月の医療安全対策検討会議にヒューマンエラー部会が意見書を提出。同部会では委員から、処方せんの書き方が伝承の世界になっているので記載を統一する規制が必要だという意見もあり、意見書では記載方法の標準化を含めた処方せんの記載事項などに関する検討を早急に行うよう会議側に提案。これを受けて、医師法や薬剤師法の改正も視野に、具体的な検討を進めていくことになっていた。
年度末をめどに本格的な論議
厚労省は、厚生労働科学研究で実態把握を進めていく方向で調整しており、各病院や学会などを対象にアンケート調査などを行うことを考えている。病院などで実際に使われている処方せんの記載形式・方法のほか、処方せんが原因になった事故事例やヒヤリ・ハット事例なども収集する。
こうしたデータを基に、研究班で事故が多発している処方せん記載方法や事故、ヒヤリ・ハット事例の傾向などを整理した上で、記載方法と事故の関連性などを分析していくことを考えている。記載項目の標準化なども含めた本格的な議論は、年度末をめどにまとまる検討結果を基に詰めていくことになりそうだ。
健康づくりの産業化目指す
生活習慣病予防ターゲットの事業多数、医療費削減を目的に
健康サービス関連で新たなビジネスモデルの確立を支援する2005年度の経済産業省「サービス産業創出支援事業」が、全国各地で始まる。生活習慣病予防がターゲットの事業も多い。関連産業の育成を目指し、疾病対策そのものを重視する厚生労働省とはアプローチの仕方が異なるものの、生活習慣病関連の医療費削減という点では共通のゴールを目指している。
サービス創出支援事業は、健康づくりや疾病予防の産業化を図りたい経産省が、04年度から3年計画で進めている。医療機関、健康サービス事業者、地方行政などがコンソーシアム(連合体)で実施するのが条件になる。
各コンソーシアムが、利用者個々のニーズに合った健康プログラムを開発したり、市町村や保険者向けの専門的な予防サービスを事業化する試みを支援。ビジネスモデルを確立して全国展開することが目的だ。今後日本と同様に、高齢社会に突入するアジア諸国へのノウハウ輸出もにらんでいる。
事業期間は1年間で、実施主体は公募と外部の審査委員の選考を経て決定する。健康サービス分野に限ると今年度は142件中16件が7月に採択され、現在、健康サービス産業振興機構(経産省の外郭団体)と各コンソーシアムの代表との間で委託金額、事業範囲の最終調整が行われている。近く各地で事業が動き出す予定だ。
事業は、
(1)エビデンスに基づく健康プログラムを提供する「ヘルスマネジメント」
(2)予防専門のサービスを創出する「ヘルスケアエージェント」
(3)利用者や関連事業者が共有できるIT基盤を構築する「事業プラットフォーム」
― の3種類に分類できる。
そのうち日本型疾病管理と位置付けられるヘルスマネジメント分野は、健康サービスの事業化に向けた方策を検討した経産省・健康サービスビジネス化研究会が、「早期の事業化が期待される領域」(中間報告、3月末)と指摘していた。
05年度の採択状況を見ると、16件中12件がヘルスマネジメント分野に集中。糖尿病とその合併症の早期発見、重症化予防に有効な健康サービスとビジネスモデルの確立をにらんだ「カルナコンソーシアム」(九州大学など、福岡県)、「千葉県健康づくりコンソーシアム」(つくばウェルネスリサーチ、千葉県など)などが、独自開発した健康づくりプログラムをベースに、民間企業や地方行政とも連携して事業化の道を探る。
一方、04年度の事業主体からは、健康サービス特有の課題として、「飽きられやすい」「購入意欲が高まりにくい」といった点も指摘された。健康サービスビジネス化研究会も、事業設計の段階では、明確かつ効率的な課金システムの構築が成否を分けると指摘。事業の実行体制では、初期段階から一定の顧客を囲い込めている点を挙げており、今年度事業では、具体的な成功事例の創出が急務になっている。
事業規模も拡大しており、04年度の19.8億円が、今年度は35.5億円に増額され、06年度の概算要求でも前年度水準を要求する見通しだ。地域単位で複数の健康増進関連事業者が連携して、医療費削減が可能な新たな健康支援体制を構築する点は、厚労省の医療制度改革の方向とも合致しており、経産省事業の具体的な成功事例が、今後各地で推進される厚労省の健康増進施策に反映されることも考えられそうだ。
生活習慣病が悪化傾向
ストレスの影響を調査へ
日本人間ドック学会は19日の記者会見で、日本病院会の指定病院で実施した人間ドックの状況(2004年1月1日〜12月31日)をまとめた報告書を発表した。報告書によると、受診結果で「異常なし」と判定された人の割合は全年代で過去最低を更新。項目別調査でも、肝機能異常や肥満など、生活習慣病に関連する項目の数値は悪化傾向を示した。同学会は、要因となる生活習慣の背景にストレスが影響しているとし、検診に、ストレスを調査するための問診票も導入する方針を示した。
調査は、日本病院会会員約2700の病院・施設に対しアンケートを実施し、1泊人間ドック581施設と1日人間ドック279施設から回答を得た。
調査結果によると、「異常なし」と判定された人は全体の12.3%で、前年から1ポイント減少。男女別では、女性15.0%だったのに対し、男性10.7%だった。一方、「要治療」とされたのは34.7%で前年比1.6ポイントの増加、「要精検」とされた人は3ポイント増の51.3%だった。
肥満、耐糖能異常、高血圧、高コレステロール、高中性脂肪、肝機能異常-の6つの検査項目は悪化傾向。前年の調査では全体的に悪化傾向に歯止めがかかったと思われる結果が得られたが、今回の結果では、肥満が1.4ポイント増の21.4%、高中性脂肪も1.4ポイント増の14.3%、肝機能異常も0.5ポイント増えて25.2%となった。
同学会は、こうした生活習慣病予備軍の増加の抑制に向け、今後、新たにストレス対策に乗り出す方針を提示。ストレス調査を行うための問診票を現在策定中で、来年以降の導入を目指す。また、今回の調査では健常者頻度の地域格差が顕著になったため、疫学調査にも活用可能な生活習慣に関する問診票も考案する予定だという。
なお、同日の会見では、今年からスタートした施設機能評価で、現在までに67施設を学会認定施設として承認したことを報告した。

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